「暴落が来た時、どうすればいいですか?」
投資を始めた人が最も不安に感じることの一つです。
暴落は必ず来ます。いつ来るかは分からない。しかし来ることは確実です。
過去を振り返ると、リーマンショック・東日本大震災・コロナショック・その他大小様々な暴落が繰り返されています。そのたびに多くの投資家が退場し、持ち続けた人が長期で大きなリターンを得てきました。
暴落を乗り越えられるかどうかは、暴落が来てから考えるのではなく、暴落が来る前に設計しておけるかどうかで決まります。
私は手取り15万円前後から資産形成を始め、金融資産1億円を超え、FIREを達成しました。その過程で複数回の大きな暴落を経験しています。暴落を経験して分かったことを、実体験を交えて解説します。
暴落とは何か|まず現実を正確に把握する
暴落について話す前に、暴落の現実を正確に把握することが重要です。
株式市場の暴落は、歴史的に見ると定期的に発生しています。
20〜30%の下落は数年に一度のペースで発生します。50%以上の下落はリーマンショック級の出来事で、数十年に一度のペースです。
重要なのは、過去のすべての暴落において、市場は最終的に回復していることです。
リーマンショックでS&P500は最大約57%下落しました。しかしその後回復し、長期では上昇を続けています。コロナショックでは最大約34%下落しましたが、約5ヶ月で回復しました。
暴落は一時的な現象です。しかしその一時的な現象の中で退場した人は、回復の恩恵を受けられません。
暴落において最も重要なことは、退場しないことです。
暴落が来た時にやってはいけないこと
暴落が来た時にやってはいけないことを先に整理します。感情が高ぶっている状態で正しい行動を取ることは難しい。だからこそ、やってはいけないことを事前に知っておくことが重要です。
❌ やってはいけないこと① 売る
暴落時の最悪の行動は売ることです。
含み損が出て怖くなる。これ以上下がる前に売ってしまいたい。この感情は自然です。しかしこの感情に従って売ることは、損失を確定させることです。
含み損は売らない限り、損失ではありません。保有を続ければ、回復した時に損失がなくなります。売った瞬間に損失が確定します。
暴落時に売った後、多くの人は「相場が落ち着いたら買い戻そう」と考えます。しかし実際には、売った後に相場が回復し始めると怖くて買い戻せなくなります。結果的に安値で売って高値で買い戻すという最悪のパターンになります。
❌ やってはいけないこと② 積立を止める
暴落時に積立を止めることも大きなミスです。
暴落時こそ、安い価格で多くの口数を購入できる時期です。この時期に積立を止めることは、最も安く買えるチャンスを自ら捨てることです。
積立を続けた場合と止めた場合では、回復後の資産額に大きな差が生まれます。
❌ やってはいけないこと③ 毎日ニュースと価格を確認する
暴落時に毎日ニュースと価格を確認することは、精神的なダメージを増幅させるだけです。
悪いニュースを見るほど不安が増します。価格が下がるたびに恐怖が強まります。この状態が続くと、感情的な判断を引き起こします。
暴落時こそ、価格の確認頻度を下げることが重要です。
❌ やってはいけないこと④ 追加でリスクを取ろうとする
「暴落時こそチャンス」という情報を見て、レバレッジ投資や信用取引で大きく張ろうとする行動も危険です。
暴落がいつ底を打つかは誰にも分かりません。底だと思って大きく張ったところがさらに下落することは珍しくありません。
通常の積立を継続することが、暴落時の最も合理的な行動です。
❌ やってはいけないこと⑤ SNSの暴落情報を追いかける
暴落時のSNSは恐怖と絶望に満ちた情報で溢れます。
「今回は違う」「もっと下がる」「損切りすべき」という情報が飛び交います。これらの情報を見るほど冷静さを失います。
暴落時のSNSから距離を置くことが、感情的な判断を防ぐ最も簡単な方法です。
暴落が来た時にやるべきこと
やってはいけないことを把握した上で、やるべきことを整理します。
✅ やるべきこと① 積立を継続する
暴落時にやるべき最も重要なことは、積立を継続することです。
これだけです。
積立を継続することで、安値で多くの口数を購入できます。相場が回復した時に、この安値の口数が大きなリターンをもたらします。
ドルコスト平均法の効果が最も発揮されるのが暴落時です。毎月一定額を積み立てることで、高い時は少なく・安い時は多く購入できます。暴落時に積立を続けることで、平均購入価格を下げる効果が最大化されます。
✅ やるべきこと② 現金バッファーを確認する
暴落時にやるべき2つ目のことは、現金バッファーの残高を確認することです。
緊急資金と生活費のバッファーが十分にあることを確認します。現金が十分にあれば、投資を売る必要がないことを改めて確認できます。
この確認作業が、精神的な安定をもたらします。
✅ やるべきこと③ 設計を見直す
暴落時は、自分の投資設計を見直す良い機会です。
今の積立額で精神的に耐えられているか。感情的に売りたくなる衝動がある場合、積立額が感情の限界を超えている可能性があります。その場合は積立額を下げることを検討します。
ただし積立を止めることはしません。減額はしても、継続することが最優先です。
✅ やるべきこと④ 何もしない
暴落時に最も賢い行動の一つが、何もしないことです。
売らない。止めない。大きく張らない。SNSを見ない。ただ積立を継続する。
これだけです。
「何もしない」は簡単に聞こえますが、実際には非常に難しい。恐怖と不安の中で何もしないためには、事前の設計と心理的な準備が必要です。
暴落を乗り越えるための事前設計
暴落が来てから対処しようとしても、感情が判断を支配しています。暴落を乗り越えるための設計は、暴落が来る前に作っておく必要があります。
設計① 感情の限界内の積立額を設定する
半分になっても売らずに持ち続けられる金額でしか投資しないことが基本原則です。
積立額が感情の限界を超えている場合、暴落時に必ず売りたくなります。設計の段階で、感情の限界内の金額に設定することが重要です。
現在の積立額が感情の限界内かどうかを確認する方法があります。保有資産が半額になった状態を想像してください。その状態でも売らずに持ち続けられると確信できますか?確信できない場合、積立額が感情の限界を超えています。
設計② 現金バッファーを確保する
生活費3〜6ヶ月分の緊急資金に加えて、投資用の現金バッファーを持つことが重要です。
特にFIRE後・退職後など、定期収入がない状態での暴落は最もリスクが高い。この状態で生活費のために売ることを避けるために、2〜3年分の生活費を現金で確保しておく設計が有効です。
設計③ 暴落時のルールを事前に決める
暴落時にどう行動するかを、相場が平穏な時期に決めておきます。
暴落時のルールの例として、積立は継続する・価格確認は月1回のみにする・SNSの投資情報は見ない・1ヶ月間は何もしないというルールを事前に決めておきます。
このルールを書き出して手元に置いておくことで、暴落時の感情的な判断を防ぐ効果があります。
設計④ 暴落の歴史を理解しておく
過去の暴落と回復の歴史を理解しておくことが、暴落時の精神的な安定に役立ちます。
リーマンショックで約57%下落したS&P500は、その後回復し最高値を更新しました。コロナショックで約34%下落したS&P500は、約5ヶ月で回復しました。
過去のすべての暴落において、長期で持ち続けた人は報われています。この歴史的事実を知っておくことが、暴落時の冷静さを保つ基盤になります。
暴落の深さ別の対処法
暴落の深さによって、精神的なインパクトが変わります。それぞれの段階での対処法を整理します。
10〜20%下落の場合
通常の調整の範囲です。積立を継続します。価格を毎日確認しないようにします。特に追加の対応は不要です。
20〜40%下落の場合
大きな下落ですが、過去にも繰り返されてきた水準です。積立を継続します。現金バッファーの残高を確認します。SNSの投資情報から距離を置きます。設計の見直し(積立額が感情の限界内かどうか)を行います。
40%以上の下落の場合
リーマンショック級の大暴落です。精神的なダメージが非常に大きい段階です。積立を継続することが最重要です。現金バッファーを使って生活費を確保します。回復には数年かかる可能性があることを想定します。ただし歴史的に見ると、この水準からの回復後のリターンは最も大きくなります。
どの段階においても、共通して守るべきことは一つです。売らないこと、積立を止めないことです。
暴落時の心理を安定させる方法
暴落時の精神的な安定を保つための具体的な方法を整理します。
価格確認の頻度を意識的に下げることが最も効果的です。スマートフォンから証券口座のアプリを削除する・通知をオフにする・月1回しか確認しないルールを決めるなどの対処が有効です。
過去の暴落と回復のチャートを見ることも精神的な安定に役立ちます。歴史的なデータが、今の暴落が一時的なものだということを視覚的に確認させてくれます。
暴落時に資産額を確認しないことも有効です。総資産が大きく減っている数字を見ることは、精神的なダメージを増幅させます。積立額と積立の継続だけに意識を向けます。
信頼できる情報源を一つだけ選ぶことも重要です。複数のメディア・SNS・ニュースを追いかけるほど情報が錯綜して不安が増します。信頼できる情報源を一つに絞り、それ以外は見ないという設計が精神的な安定をもたらします。
暴落後に訪れる機会
暴落は恐怖と不安をもたらします。しかし暴落後には、長期投資家にとって大きな機会があります。
暴落時に積み立てた口数が、回復後に大きなリターンをもたらします。
例えば毎月3万円を積み立てている場合、通常時は1口1,000円の商品を30口購入できます。暴落で500円に下がった場合、同じ3万円で60口購入できます。回復して1,000円に戻った時、この60口は6万円になります。
暴落時に積立を継続した人は、回復後に大きな恩恵を受けます。暴落時に止めた人は、この恩恵を受けられません。
暴落を機会として捉えられるかどうかは、事前の設計と心理的な準備にかかっています。
私自身が暴落で経験したこと
正直に話します。最初の大きな暴落を経験した時、私は毎日価格を確認していました。含み損が膨らむたびに売りたい衝動を感じました。
それでも売らずに持ち続けられた理由は一つです。売った後に何をするかが決まっていなかったからです。
結果的に持ち続けたことで、回復後に大きなリターンを得ました。しかしこれは設計ではなく、偶然の産物でした。
その後の暴落では、設計が変わっていました。価格を確認する頻度を下げていた。現金バッファーを確保していた。暴落時のルールを事前に決めていた。
設計があったことで、後の暴落は最初の暴落よりはるかに冷静に乗り越えられました。
暴落を乗り越えるのは勇気ではありません。事前の設計です。
まとめ:暴落は設計で乗り越える
暴落が来た時の対処法をまとめます。
やってはいけないことは、売ること・積立を止めること・毎日価格を確認すること・追加でリスクを取ること・SNSの暴落情報を追いかけることです。
やるべきことは、積立を継続すること・現金バッファーを確認すること・設計を見直すこと・何もしないことです。
暴落を乗り越えるための事前設計として、感情の限界内の積立額の設定・現金バッファーの確保・暴落時のルールの事前決定・暴落の歴史の理解が重要です。
暴落は必ず来ます。しかし正しい設計があれば、暴落は退場の原因ではなく資産形成の加速の機会になります。
過去のすべての暴落において、持ち続けた人は報われてきました。この歴史的事実と事前の設計が、暴落時の最大の武器です。


コメント