正直に話します。
FIREを目指していた頃、周囲からよく言われました。
「早く引退したいなんて、楽をしたいだけじゃないか」「仕事から逃げているだけでしょう」「働くことに意味があるんだ」
その言葉を聞くたびに、何かが違うと感じていました。しかしうまく言葉にできなかった。
FIREを達成した今、あの頃感じていた「何かが違う」の正体が分かります。
私がFIREを目指していたのは、楽をしたかったからではありませんでした。自分の人生を自分でコントロールしたかったからです。生きがいにフォーカスしたかったからです。生きることに意味を見出したかったからです。
この記事は、資産形成の方法論ではありません。なぜ私がFIREを目指したのか、その本当の理由を正直に書いたものです。
会社員として感じていた違和感
手取り15万円で働いていた頃のことを振り返ります。
仕事が嫌いだったわけではありません。怠けたかったわけでもありません。同僚も上司も、悪い人ではなかった。
しかし毎朝、目覚まし時計が鳴るたびに感じる感覚がありました。
「今日も、誰かのために時間を使う一日が始まる」
この感覚の正体を、当時はうまく言語化できませんでした。しかし今なら分かります。
自分の時間が自分のものではないという感覚でした。
1日24時間のうち、睡眠・通勤・仕事で大半が埋まります。残った数時間で食事をして、少し休んで、また翌日が始まる。
その繰り返しの中で、ふと思いました。
「私は何のために生きているのか」
この問いが、FIREへの出発点でした。
楽をしたいわけではなかった
FIREを調べ始めた頃、誤解していたことがあります。
FIREの目的が「働かないこと」だと思っていた時期がありました。
しかし資産が積み上がり、FIREへの距離が縮まるにつれて、気づき始めました。
働かないことが目的ではない。何のために時間を使うかを自分で決めることが目的だ。
楽をしたいなら、もっと簡単な方法があります。消費を増やして今を楽しめばいい。節約せず・投資せず・今この瞬間を最大限に享受すればいい。
しかし私が向かっていたのはその方向ではありませんでした。
将来の自由のために今を制約することを、苦痛とは感じなかった。むしろ毎月の積立が、未来の自分への投資として意味を持っていました。
楽をしたい人は、将来のために今を我慢することに意味を感じられません。
私がFIREを目指し続けられたのは、それが楽への道ではなく、本当に生きたい人生への道だと感じていたからです。
自分の人生をコントロールするということ
FIREが与えてくれたものを一言で表すなら、コントロールです。
会社員として働いていた頃、多くのことが自分でコントロールできませんでした。
何時に起きるかは、出社時間が決める。どこにいるかは、会社の場所が決める。誰と時間を過ごすかは、職場の人間関係が決める。何を優先するかは、上司の指示が決める。
これらのことを「当たり前」として受け入れることができる人もいます。その生き方を否定しません。
しかし私には、その当たり前が少しずつ積み重なって、重くなっていきました。
自分の時間・場所・優先順位を自分で決められないことへの違和感が、少しずつ大きくなっていきました。
FIREを達成した今、朝起きる時間を自分で決めます。今日誰と会うかを自分で決めます。何に時間を使うかを自分で決めます。どこに住むかを自分で決めます。
この「自分で決める」という感覚が、FIREが与えてくれた最大のものです。
お金の話ではありません。自分の人生の主導権を取り戻すという話です。
生きがいにフォーカスするということ
日本語に「生きがい」という言葉があります。
英語に直訳できない概念です。生きる喜び・生きる意味・自分が存在することへの価値。そういったものを含んだ言葉です。
会社員として働いていた頃も、生きがいがなかったわけではありません。仕事の中に達成感があることもありました。同僚との関係に喜びを感じることもありました。
しかし常に感じていたことがありました。
自分が本当にやりたいことに、十分な時間を使えていない。
読みたい本がある。行きたい場所がある。深く考えたいテーマがある。会いたい人がいる。
しかし時間が足りない。エネルギーが足りない。仕事で消耗した後の残り時間で、本当にやりたいことをやろうとしても、十分にできない。
FIREを目指したのは、この制約を取り除くためでした。
本当に大切にしたいことに、時間とエネルギーをフルで使いたかった。それが生きがいにフォーカスするということの意味でした。
生きることに意味を見出したかった
これが、FIREを目指した最も深い理由です。
生きることに意味を見出したかった。
この言葉は重く聞こえるかもしれません。しかし暗い意味ではありません。
人生には限りがあります。与えられた時間は有限です。その有限の時間を、何のために使うかを真剣に考えた時に、今の使い方への疑問が生まれました。
誰かの決めたスケジュールで・誰かの決めた場所で・誰かの決めた目的のために時間を使い続ける人生に、自分なりの意味を見出せなかった。
意味のある人生とは何かを問い続けた時に、出てきた答えがありました。
自分が本当に大切だと思うことのために時間を使う人生。自分の価値観に沿った選択を積み重ねる人生。人生の終わりに「あの時間は意味があった」と思えるような使い方をする人生。
そのための条件として、お金の自由と時間の自由が必要でした。
FIREは目的ではありませんでした。意味のある人生を生きるための条件でした。
FIREを達成して変わったこと
FIREを達成した後、何が変わったかを正直に話します。
最初に感じたのは解放感でした。長年感じてきた制約から解放される感覚です。
しかし解放感の後に来たのは、静かな問いでした。
「さて、何をしようか」
この問いは、思ったより深いものでした。
制約がなくなった時、何に時間を使うかを完全に自分で決める必要があります。その自由は喜びであると同時に、責任でもありました。
意味のある時間の使い方を、誰も決めてくれない。自分で見つけるしかない。
この問いと向き合う中で、いくつかのことが明確になりました。
発信することが自分にとって意味を持つことが分かりました。誰かの資産形成の役に立てることに喜びを感じることが分かりました。考えを言語化することが自分にとって生きがいの一つだということが分かりました。
このサイトを運営していることは、その気づきの産物です。
FIREを達成して働かなくなったのではありません。何のために時間を使うかを自分で決められるようになったから、このサイトを書いています。強制されているのではなく、意味を感じるから続けています。
楽をしたいのではなく本当に生きたい人へ
この記事を読んでいる人の中に、同じような感覚を持っている人がいるかもしれません。
仕事が嫌いなわけではない。しかし何かが違う。もっと自分の人生を生きたい。本当に大切なことに時間を使いたい。
その感覚は、怠けたい気持ちでも逃げたい気持ちでもありません。
生きることに意味を求める、人間として自然な欲求です。
その欲求に応えるための手段の一つがFIREです。お金の自由と時間の自由を手に入れることが、自分の人生をコントロールするための条件になります。
しかしFIREはそれ自体が目的ではありません。
FIREを達成した後に何をするかが、本当に重要な問いです。
自由になった時間で何に意味を感じるか。どんな生きがいに向かって時間を使うか。どんな人生を生きたいか。
この問いに今から向き合っておくことが、FIREを真に意味あるものにするための準備です。
資産形成は手段です。意味のある人生を生きることが目的です。
この順序を忘れないことが、FIREという長い旅を続ける上で最も重要なことだと、私は今も思っています。
まとめ
FIREを目指した本当の理由を話してきました。
楽をしたかったのではありません。自分の人生をコントロールしたかった。生きがいにフォーカスしたかった。生きることに意味を見出したかった。
その条件として、お金の自由と時間の自由が必要でした。
FIREは目的ではなく条件でした。本当の目的は、意味のある人生を生きることです。
この視点を持った上で資産形成に取り組む人と、数字だけを追いかける人では、長期で見た時の強さが違います。
意味があるから続けられる。意味があるから退場しない。意味があるから、複利が加速する段階まで走り続けられる。
あなたがFIREを目指す理由は何ですか?
その問いへの答えが、資産形成を続ける最も強力な燃料になります。


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