サラリーマンが使える節税8選|年収別の効果シミュレーション

a group of small pink pig figurines on a white surface 節税・制度活用

「会社員は節税できることが少ない」

こう思っている人が多い。しかしこれは誤解です。

確かに自営業・フリーランスと比べると、会社員が使える節税の手段は限られます。しかし正しく活用すれば、年間数万円から数十万円単位の節税が可能です。

重要なのは、節税で生まれた資金をそのまま積立に回すことです。節税効果が毎月の積立額を増やし、複利が加速します。

私は手取り15万円前後から資産形成を始め、金融資産1億円を超え、FIREを達成しました。会社員時代から使える節税手段をすべて活用して、積立原資を最大化してきた経験があります。

この記事では、サラリーマンが使える節税手段を8つ解説します。また年収別のシミュレーションも示します。ただし税務の判断は個人の状況によって異なります。具体的な判断は専門家に確認することをおすすめします。


サラリーマンの節税の基本的な考え方

節税の仕組みを理解するために、まず所得税・住民税の計算構造を把握することが重要です。

給与収入から給与所得控除を引くと給与所得になります。給与所得からさまざまな所得控除を引くと課税所得になります。そして課税所得に税率をかけると所得税額になります。

つまり節税のポイントは課税所得を下げることです。所得控除を増やすほど課税所得が下がり、税負担が減ります。

所得税率は課税所得によって変わります。

課税所得195万円以下:5% 195万円超〜330万円以下:10% 330万円超〜695万円以下:20% 695万円超〜900万円以下:23% 900万円超〜1,800万円以下:33%

年収が高いほど所得税率が高くなります。そのため節税効果も大きくなります。


節税手段① iDeCo(個人型確定拠出年金)

会社員が使える節税手段の中で、最も効果が大きいものの一つです。

毎月の掛金が全額所得控除になります。会社員(企業年金なし)の掛金上限は月23,000円(年276,000円)です。

年収別の節税効果を示します。

年収400万円(所得税率10%・住民税10%)の場合、年間節税額は約83,000円です。月収がやや高い年収600万円(所得税率20%・住民税10%)でも、節税額は同じく約83,000円になります。さらに上の年収900万円(所得税率23%・住民税10%)になると、年間節税額は約91,000円に増えます。高所得の年収1,200万円(所得税率33%・住民税10%)では、節税効果は最大の約118,000円になります。

この節税額を積立に回すことで複利の恩恵を受けます。年間83,000円を30年間積み立てると(年率5%)、約580万円になります。

ただし60歳まで引き出せない制約があります。そのためFIREを目指す場合はNISAを優先した上で、余裕があればiDeCoを活用する設計が基本です。


節税手段② 新NISA

厳密には節税ではなく、投資の利益・配当が非課税になる制度です。しかし課税口座との比較で見ると、実質的に大きな節税効果があります。

通常の課税口座では、投資の利益に約20.315%の税金がかかります。一方で新NISA口座内ではゼロです。

例えば新NISA口座内で100万円の利益が出た場合、課税口座なら約20万円の税金が発生します。しかし新NISAならゼロです。

長期で積み立てるほど、この差は大きくなります。そのため生涯投資枠1,800万円を非課税で運用できる新NISAの活用は、サラリーマンの資産形成において最優先事項です。


節税手段③ ふるさと納税

実質2,000円の自己負担で返礼品と税金控除を同時に得られる制度です。

控除上限額の範囲内で活用することが基本です。また年収別の控除上限額の目安(独身・扶養なしの場合)は次の通りです。

年収400万円:約42,000円 年収500万円:約61,000円 年収600万円:約77,000円 年収700万円:約108,000円 年収800万円:約129,000円

ワンストップ特例制度を使えば確定申告不要で手続きが完結します。さらに食品・日用品を返礼品として受け取り、浮いた生活費を積立に回す設計が資産形成への最も合理的な組み込み方です。


節税手段④ 医療費控除

年間の医療費が10万円を超えた場合(総所得の5%を超えた場合)、超えた分が所得控除になります。また対象となる費用の範囲は思っているより広い点も覚えておいてください。

病院の診察費・薬代・通院交通費・歯科治療費・入院費用・出産費用(一時金を除く)などが含まれます。

加えて家族の医療費を合算できます。自分一人では10万円に届かなくても、家族全員分を合算すると超えるケースがあります。そのため年間の医療費が10万円を超えた年は、必ず確定申告で申請してください。

年収500万円の人が医療費として年間15万円支払った場合、控除対象は5万円(15万円-10万円)です。所得税率20%・住民税10%の場合、節税額は約15,000円になります。


節税手段⑤ 生命保険料控除

生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料が所得控除の対象になります。

各区分で最大40,000円(住民税は28,000円)の控除があります。つまり3区分合計で最大120,000円(住民税は70,000円)の控除が可能です。

多くの会社員がすでに年末調整で申告しているはずです。ただし申告漏れがないか確認することが重要です。なぜなら控除証明書を添付し忘れるケースが毎年一定数あるからです。

保険料控除証明書は毎年10〜11月頃に保険会社から届きます。年末調整の書類に漏れなく添付することが基本です。


節税手段⑥ 住宅ローン控除

住宅ローンを組んでいる場合、年末残高の一定割合が税額控除になります。

所得控除(課税所得を減らす)ではなく税額控除(税金そのものを減らす)のため、節税効果が非常に大きい。

控除率・控除期間は取得した住宅の種類・時期によって異なります。そのため取得時の条件を確認した上で、毎年の年末調整で忘れずに申告することが重要です。

なお初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は会社の年末調整で対応できます。


節税手段⑦ 特定支出控除

あまり知られていませんが、会社員でも仕事に関連する支出を経費として控除できる制度があります。

対象となる支出として、通勤費・転居費・研修費・資格取得費・単身赴任者の帰宅旅費・仕事に必要な図書費・衣服費・交際費などがあります。

これらの特定支出の合計が、給与所得控除額の2分の1を超えた場合、超えた部分を所得控除として申告できます。

例えば年収600万円の場合、給与所得控除は164万円(概算)です。その2分の1は82万円。つまり特定支出の合計が82万円を超えた部分が控除対象になります。

一般的には閾値が高く活用できるケースは限られます。しかし研修費・資格取得費が多い年・自腹での出張が多い年などは確認する価値があります。なお申請には会社の証明書が必要になるため、事前に経理部門に相談することをおすすめします。


節税手段⑧ セルフメディケーション税制

市販薬(OTC医薬品)の購入費用が年間12,000円を超えた場合、超えた分が所得控除になります。控除上限は88,000円です。

医療費控除との選択適用になります。そのためどちらか有利な方を選ぶことが重要です。

対象となる市販薬は、厚生労働省が指定するスイッチOTC医薬品です。パッケージに「セルフメディケーション税制対象」と表示されています。

日常的に市販薬を使う家庭では、12,000円を超えるケースは少なくありません。また領収書を保管しておくことが申請の条件になるため、習慣として取っておくことをおすすめします。


年収別・節税効果のシミュレーション

8つの節税手段をフル活用した場合の年収別の節税効果を示します。なおあくまでも概算です。

年収400万円の場合

iDeCo(月23,000円):年間約83,000円の節税 ふるさと納税(上限42,000円):約40,000円の実質的な節税効果 医療費控除(仮に医療費15万円):約15,000円の節税

合計:年間約138,000円の節税効果

年収600万円の場合

iDeCo(月23,000円):年間約83,000円の節税 ふるさと納税(上限77,000円):約75,000円の実質的な節税効果 医療費控除(仮に医療費15万円):約15,000円の節税 生命保険料控除(フル活用):約40,000円の節税

合計:年間約213,000円の節税効果

年収800万円の場合

iDeCo(月23,000円):年間約107,000円の節税 ふるさと納税(上限129,000円):約127,000円の実質的な節税効果 医療費控除(仮に医療費15万円):約25,000円の節税 生命保険料控除(フル活用):約50,000円の節税 住宅ローン控除(仮に残高3,000万円):約210,000円の税額控除

合計:年間約519,000円の節税効果


節税効果を資産形成に組み込む設計

節税で生まれた資金を積立に回すことで、節税が資産形成に直結します。具体的に年間138,000円の節税効果(年収400万円のケース)を毎月の積立に換算すると、月11,500円になります。そしてこの月11,500円を30年間積み立てた場合(年率5%)、約955万円になります。

つまり節税手段を活用しない場合と比べると、30年後の資産に約955万円の差が生まれます。同じ収入・同じ積立額でも、節税の活用の有無でこれだけの差が出ます。

そのため節税を投資と別物として考えるのではなく、資産形成の設計の一部として組み込むことが重要です。


優先順位の整理

結論から言うと、まず新NISAを最優先で活用します。なぜなら流動性があり非課税枠が大きく、最もシンプルで効果が大きいからです。

次にふるさと納税を活用します。年に一度の手続きで確実に効果が出ます。また手間が少なく即効性がある点も大きなメリットです。

さらにiDeCoを検討します。所得税率が高い人・老後資金として明確に分けられる場合に有効です。ただしFIREを目指す場合はNISAを優先します。

生命保険料控除は年末調整で確実に申告します。すでに払っている保険料を申告するだけで節税効果が得られます。

医療費控除は医療費が多かった年に確定申告で申請します。一方で住宅ローン控除は住宅ローンがある場合、必ず申告します。


まとめ:サラリーマンでも年間数十万円の節税が可能

結論として、iDeCo・新NISA・ふるさと納税・医療費控除・生命保険料控除・住宅ローン控除・特定支出控除・セルフメディケーション税制の8つが主な節税手段です。また年収・家族構成・住宅ローンの有無によって最適な組み合わせが変わる点も重要です。

これらを適切に組み合わせることで年間数万円から数十万円単位の節税が可能です。さらに節税で生まれた資金を積立に回すことで、節税が資産形成を加速させます。同じ収入でも節税活用の有無で、30年後の資産に数百万円単位の差が生まれます。

会社員だからといって節税を諦める必要はありません。使える制度をすべて正しく活用することが、資産形成を加速させる確実な方法です。

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